From Chuhei
 
ワインセミナーでのチリワインです。(写真は清水さん撮影)
 
 
そしてその内の主な4種のワインです。
 
 
ご機嫌の清水さんと私、 今度は白ワインで乾杯だ!
 
 
少し頬を染めて赤ワインが美味しい……。中村さんと有元さん、そして講師の斎藤さん。
 
 
 

 

   ワインセミナー  

 

 

 

 清水さんから、ワインセミナーに参加しないかとのメールが入った。清水さんはワイン

好きの86歳、かつて、西宮市シルバー人材センター設立準備の委員を一緒にしたことも

ある長老級の会員である。

 

 大阪梅田の阪神百貨店では「阪神大ワイン祭」と称して11月14日から20日まで8

階の催場で、大規模な試飲販売を行っている。ここでは44のブース(出展会社ごとの仕

切り)があり、660種のワインが無料で試飲出来る。

 

 その期間中に、周辺のワインバーやレストランでは、有名なソムリエや専門家を呼んで、

ワインを飲み、料理を食べながらのセミナーが開かれるのである。

 

 それは有料であるが、参加の人員が限られ、割安な料金設定のため、申し込みがいつも

殺到し、なかなか予約が取りにくい。清水さんはこの情報を知ると、受付初日を待ち構え、

混み合って通じない電話をやっと通じさせて、8回あるセミナーのうち11月17日「チ

リのエミリアーナワイナリー」の4人分を取った。場所は阪神百貨店10階のレストラン

プラザ日本料理店「旬粋」で午後7時から9時、参加費は4200円。シルバー人材セン

ターで、パソコン教室の主催役をしている有元さん、独自事業で活躍中の中村さんの女性

2人も参加することになった。

 

 私はこの日、まず阪神百貨店8階のワイン試飲販売場へ行ってみた。多くの人がコップ

片手にブースに群がっている。若い女性も多い。ここでコップを持って立っているだけで

は誰もワインを注いでくれない。試飲のコツはまず置いてある商品ワインリストを持って、

「このワインはこのリストのどれですか?」と聞くのである。そうすると、これは酸味が

高いとか、甘口だとか言いながら注いでくれるのを飲んで比べることができる。買わなく

ても660種も飲める。

 

 しかし私は次のセミナーがあるので、チリと南アフリカとフランスを1種ずつ飲むに止

め、セミナー会場の「旬粋」に行った。

 

 ここは日本料理店である。ワインといえばフランス料理、鳥や魚は白ワイン、肉には赤

ワインというのは常識であるが、日本料理に果たしてワインは合うのか?

 

 講師はチリの会社のワインエデュケーターとして実績のある斎藤美樹さん。背の高い女

性である。料理を担当するのは「旬粋」の料理長上垣 元氏。

 

 まずチリワインの説明から始まった。チリは世界の中でも有数のワイン生産国である。

気候風土がぶどうの栽培に適しているところが多く害虫の被害も少ない。値段に比して良

質のものが多い。

 

 そして出されたのがソーヴィニョン・プラン。果実とハープの香りがする爽やかでフレ

ッシュ感の白ワイン。それに対して前菜は銀杏、むかご、厚焼きたまご、花蓮根、ミニオ

クラ、人参松葉、穴子鳴門巻、松葉そば。「どうです? よく合うでしょう」と聞かれれ

ば、「全く白に良く合って旨い! 旨い!」と言わざるを得ない。

 

 次はピノ・ノワール。赤い果実のアロマとほのかなスパイスの赤ワイン。そして出され

た造りは、甘鯛の昆布〆、甘海老、その他のあしらい一式。これは赤でも白でも、どっち

でも良い感じ。

 

 そこへ、有名な白のシャルドネ。かすかなオーク樽の香りとトロピカルフルーツの香り

が混ざり合い、少し酸味がある。その酸味が天ぷらによく合う。その材料は松茸、舞茸、

エンリギなどのきのこ群。

 

 そして出てきたどろりとした重量感のする赤ワイン、コヤム・コルチャグア。カシスや

バニラの香り。そして料理は海老、鳥貝、胡瓜、昆布、厚焼き錦糸等の小鉢、そのあと、

鰤大根。

 

 総じて、最初はあっさりした白ワインが美味しく感じたが、料理が進んでくると濃い赤

ワインもなかなか深い味わいがしてきて、お替りをするようになった。

 

 清水さんは大満足の様子で「旨い! 旨い!」を連発しながら、写真を撮り、講師の

斎藤さんとなんやら楽しそうにしゃべっている。有元さん、中村さんもほんのりと頬を染

ながらも、満足げにゆったりグラスを傾けて歓談している。会場全体、セミナーという

り、白・赤ワインに彩られて、熱気の満ちた楽しいパーテイである。

 

 最後に、かやくご飯、赤だし汁、香物が出て、デザートはりんごシャーペットだった。

 

 私は清水さんと違って、ワイン党ではない。日常家ではワインを飲まない。しかし、ワ

インは嫌いではない。今でも売っている「赤玉ポートワイン」を愛飲していた時があった。

 

 昔、六甲山50キロコースを徹夜で縦走したとき、仲間の女性に「赤玉ポートワイン」

一本を持って歩き、ときどき瓶に口をつけて飲んでいる人がいた。その豪快さに感心して

私もその後しばらくは、赤玉ポートワイン党になった。

 

 しかし今回のように優雅に、料理ごとに種類を変えてワインを飲んだのは初めての経験

だった。日本料理でも種類の風味が合えば、確かにワインは食べ物の味を引き立たせる。

そしてワインには酒やビールにない特色がある。身体の老化を抑える効用である。

 

 ワインに含まれる物質ポリフェノール。これが病気や老化を招く体の酸化を防ぐとされ

る。さらにガンを抑え、アルツハイマー、痴呆症の発生も抑制する。そして血流を良くし

脈硬化を防ぐ。この物質はぶどうの種子や皮に多いため、白ワインより赤ワインに多

く含むとされている。

 

 講師の斎藤さんによると、このような成分は、粒の大きなぶどうより粒の小さなぶどう

に多く含まれ、ワイン作りには小粒が適しているということであった。

 

 この日、ワインの試飲場から、セミナーまで色々なワインを飲み続けた私であったが、

幸い深酔いすることもなく、良い気分の清水さん・有元さん・中村さんと別れ、私も満足

して家に帰った。

 

 するとしばらくして清水さんからメールが来た。女性講師の斎藤さんにすぐにメールを

送ったら、「皆さんに楽しんで頂いたようで本当に良かったです。清水さんの若さの秘訣

仲の良いお仲間と美味しいワインを飲むことですね! これからもどんどん外に出て楽

しんで下さい。また来年、5月のワインディナーでお会いしましょう」と返事が来たとい

うのである。さすがに、ワインと女性には実にこまめな動きをする清水さんである。

 

 私もワイン情報に注意して来年の5月のワインディナーでは、清水さんに先がけて席を

確保するぞと言う気になってきた。

 

 そして遂に我が家の晩の食卓には、赤と白のチリワインの瓶とグラスが並んだのである。

 

 阪神百貨店ワイン部門の販売戦略が見事に成功し、私がその作戦にはまってしまった瞬

間であった。

 

 

                    (平成24年11月29日)

 

 

 

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:★:cosmic harmony
      宙 平
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