もだんるーぶバス 宙平氏 平成19年12月5日投稿 |
From
Chuhei
兵庫県阪神南県民局が主体となって、西宮の酒蔵や西宮芦屋の美術館を回る
もだんるーぷバスが11月3日から平成20年2月24日までの、土・日・祭日に運行
されることになりました。
私は別に頼まれたわけでもありませんが、乗車した状況を阪神南県民局宛て
にエッセー風に書いて、提出することにしました。
下記の写真はそのバスと、阪神西宮バス停に貼り付けられた、るーぷバス時刻表です。
下記は美術館コースの谷崎潤一郎記念館です。
もだんるーぷバス
兵庫県阪神南県民局 企画調整部地域魅力づくり課御中
南県民局では、平成十九年十一月三日から平成二十年の二月二十四日までの土・日・休日に、西宮と芦屋の 文化・観光施設を巡る「もだんるーぷバス」の運行を主体となって企画され、そして開始をされました。
西宮市民の私は、市の文化の一つである酒蔵と、西宮と芦屋にある有名な美術館などを巡回するバスの出現 を、日頃から心待ちにしていました。
私自身は巡回先の酒蔵も美術館もすでによく知っていますが、しかし時には酒蔵の蔵出し原酒の味を味わい 落ち着いた酒蔵の雰囲気のあるレストランで食事をしたり、買い物をしたりすることがあります。また美術館 もそれぞれ時期により催しが変わり、バスを利用することが必要になります。それに、他の地域に住む友人や 知人に、酒蔵や美術館を案内する場合、それぞれの場所が離れ点在していて、今までそれを結ぶ交通の便が不 自由でした。それに利き酒を味あうことの出来る酒蔵に車を運転して出かけることはできませんでした。駐車 場が問題のところもありました。そのようなことで私は、今回のバスの運行開始には、諸手をあげて賛同し、 この際、多くの人たちに来ていただいて、西宮や芦屋の文化観光のスポットを、楽しく味わって欲しいと思い ました。
十一月十七日(土)まずは私と妻と二人で酒蔵と美術館両方のコースを回ってみることにしました。西宮市 川東町に住む私たちとしては、阪神西宮駅北側のバス乗り場から、十一時二十分発酒蔵コースバスに乗りまし た。切符はその前に、駅の一階にあるコンビニのアンスリーで買いました。一人五百円でなかなか立派な説明 書つきの切符でした。このバスは車内や乗り場では切符を売りませんから、阪急西宮北口(切符は駅サービス センターで)や、JR西宮(切符はファミリーマート駅北口店で)から乗る人は、切符売り場がわかるのか少 し心配になりました。
乗ってみて、驚いたことにこの日のこの時間のバスの客は、私たち二人だけでした。「これではコスト倒れ になる。もっともっと広く多くの人に、このバスのことを知ってもらうようにしないと、折角のよい企画の甲 斐が無いではないか」とすぐ思いました。
酒蔵コースでバスは、交通博物館前(ここから白鷹緑水苑へ行ける。酒蔵展示、売店、レストランなどがあ る)から白鹿博物館前(酒博物館のほか、利き酒コーナー、売店、レストランなどがある)を回り、そして石 在町へ向かいました。私たちは、うっかり日本盛煉瓦館へはこのバス停で降りることを忘れていました。煉瓦 館の建物が見えてきたので「ここで降りるはずだった」と運転手に言うと、親切に煉瓦館前でバスを止めてく れました。
煉瓦館には売店、レストランのほか、ガラス工房などがあります。売店の利き酒コーナーでは三種類の蔵出 しの原酒などを無料で味えます。私たちは売店で利き酒を味わった後、レストランで昼の食事をしました。こ この食事は日本料理ですが、適切な値段でよい内容でした。ただ人数が多いときは予約が必要なようでした。 私たちにとって残念なことは、バスの切符を見せると、ここでは記念品(米ぬか美人サンプルセット)をもら えることになっていましたが、そんな細かいパンフレットの説明を読んでいませんから、そのときは知らなか って、後で分かったことです。
このバスは、その日の阪神西宮駅発十時二十分から十六時二十分までの間、一時間おきに、それぞれのバス 停を回っています。私たちは食事の後、石在町のバス停で次のバスを待ちました。十二時三十五分時刻表どお りきっちりと、バスは石在町に来ました。なんとこの車も誰も乗っていませんでした。そして運転手は一時間 前の人と同じでした。「次はどこで降りますか」と聞かれました。私たちは続いて美術館コースも回りたいの で、阪神西宮まで乗って行くと答えました。
そして、バスは、酒饅頭で有名な大関関寿庵(ここには喫茶室もあり、その前に六角堂がある)に行ける今 津二葉町から、北今津(ここではアサヒビール工場の見学が出来る。但し、予約が必要)と回りました。そこ から阪急の西宮北口とJRの西宮を経て、阪神西宮に、私たち二人だけのまま着きました。十三時十分でした。
次いで、美術館コースは十三時四十分、阪神西宮発のバスに乗りました。同じ日であれば、どのコースであ っても、切符を見せると、何回でも乗れます。このバスには私たちのほかに三人の客が乗りました。私たちの 住んでいる川東町(市民ギャラリー、図書館、郷土・平和資料館などがある)から大谷美術館前に着きますと、 美術館の見学を終えた人が二人乗り込みました。そしてバスは芦屋市に入り、緑町に着きました。ここでは今 まで乗っていた人たち全員がバスを降り、代わりにこのバスを待っていた三人の人が乗り込みました。私たち もこのバスを降り、谷崎潤一郎記念館へ行きました。入館料は三〇〇円ですが、五〇〇円のヨドコウ迎賓館と の共通券を。六〇〇円で売っていました。以前にも何回か来たことがあるのですが、この日は谷崎の「源氏物 語の場―見立ての達人」の展示をやっていました。内容は転々と住居を変えた谷崎が物語訳業として、住環境 などから物語登場人物の姿をどう見立てたか、を究明しようとしたものでした。ここからは、芦屋市立美術博 物館も行けますが、時間はあっという間に経ちましたので、一時間後の緑町発十五時一分のバスに乗りました。 バスは阪神芦屋、JR芦屋南口と巡っていきました。
妻が夕食の食材の買い物をしたいと言いましたので、私たちはJR芦屋南口で降り、大丸の地下一階の食品 売場で買い物をしました。このバス停に来る次のバスは十六時六分ですので、買い物の後、近くの喫茶店で、 ゆっくりコーヒを飲むことが出来ました。
そして乗り込んだバスが次の開森橋に着くと、ここでは今までのバスで、重要文化財ヨドコウ迎賓館を見学 していた人たちが、三人乗ってきました。その中の一人のお年寄りの女の人は先の谷崎潤一郎記念館で見かけ た人でしたが「バス停からヨドコウ迎賓館までの坂がきつい。分かっていたら行かなかったのに……」といっ ていました。
バスは次いで阪急芦屋川、阪神芦屋、再び緑町と回り、川東町から終点阪神西宮へと進みました、私たちは 自宅のある川東町で降り帰宅しました。妻が「酒蔵で昼食した後、美術館を見て、芦屋大丸で買い物をして、 家の近くまで送ってもらえる。こんな便利な有難いバスはない」と言っていました。
私はこの、もだんるーぷバスは平成二十年二月二十四日以降も、ぜひ阪神南地区の観光の柱として、続けて ほしいと願っています。
そのために、もっとこのバス活用の方法を広くPRする必要があります。例えば阪急沿線に住む人たちが、 阪急西宮北口から乗車して、酒蔵や美術館を回り、最終に阪急芦屋川で降りて帰ることが出来るというような ノウハウは、一般にはあまり知られていません。また利き酒や記念品などの特典を積極的にそれぞれの施設で、 徹底的に利用者に知らせて説明すべきです。そして阪神南県民局を中心に、阪急・阪神・JR・各施設が一体 となって営業力を最大に発揮して、このすばらしいバスの利用を各方面の各団体と各地市民に一層積極的に呼 びかけてほしいと思っています。
私は今でも、休日になると家の近くの建石通りを通る、るーぷバスを眺めながら、その乗客の数が少ないこ とに、いつも心を痛めているのです。
■■◆ 宙 平 |