From Chuhei
新型コロナ大戦とマヌカハニー

新型コロナウイルスがたちまち、全世界に感染拡大した。中国武漢で火がつき、めらめら と全世界全体に広がって行く様子は、世界大戦の時の戦火の燃え広がりそのものであった。

フランスのマクロン大統領はコロナ拡大に対し「私たちは戦争状態にある。敵はすぐそこ にいる。見えないが、前進している」と叫び、ドイツのメルケル首相は「第二次世界大戦 以来の、最大の試練に直面している」とテレビで演説をした。アメリカのトランプ大統領 は「これは戦争だ」と述べ自分自身を「戦時大統領だ」と表現し、傷病兵輸送用の海軍の 病院船2隻をニューヨーク港に派遣した。中国の習近平国家主席は「我々は速やかに病気 を防ぐ人民戦争を開始した。我々はこの戦いを勝ち抜く自信と能力がある」と強調した。

私もこれは確かに一大危機だ、攻勢をかけてきた新型ウイルスコロナ軍団と全人類との大 戦争だと思って、新型コロナ大戦と呼ぶことにした。 戦争となると、戦訓のいくつかが 頭に浮かんだ。その中で、

「大敵と見て恐れず小敵と見て侮らず」

戦時中によく聞いた言葉だが、今回も最初武漢で発生した時世界は、しばらくすれば治まる と、軽く侮っていたのではないか。ところが敵は大敵、なかなかの曲者、無症状でも人に 感染させ、感染力は強大で世界に拡散、感染するとねばり強く簡単に退去しない、この病気 が回復した場合の身体の免疫さえ疑われ始め、この戦いが長期化する可能性も高くなった。 しかし恐れているだけではいけない。孫子の兵法に次の言葉がある。

「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」

彼というのは、敵のことであり、今の敵は新型コロナウイルスである。敵のことをよく知って、 どうやって撃滅するか。

人類は今まで細菌の攻撃には、苦しみながらも抗菌薬や抗生物質を作り切り抜けてきた。結核、 コレラ、ジフテリア、赤痢などである。しかしウイルスには対応しきれていない。ウイルスは 細菌より100分の1以上も小さいものが多く、細胞の中に入って、細胞の力でコピーを作り 増殖する。インフルエンザ、ヘルペス、HIV(エイズ)、マイコプラズマ、エボラ出血熱 などで、細菌には効く抗生物質もウイルスには効かない。コロナウイルスに限らず、どんな ウイルスでも直接消滅させる薬はまだないのだ。ウイルス薬と言われるのは、細胞を包み込み その増殖を抑制ものか、細胞への侵入を防ぐものがそのほとんどである。

そしてワクチンは、弱毒化した抗原を身体に投与して、病原体に対する抵抗を促し、感染症の 免疫を作り出すものだ。が、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けられるようになるには、 まだまだ日にちがかかる。

そこで、今まで使われていた薬を活用して対抗しようとしている。日本で開発されたウイルス 増殖阻害薬アビガン、急性膵臓炎の薬ナファモスタット、HIV治療薬カレトラ、エボラ出血熱 ワクチン、レムデシビル、ぜんそく薬シクレソニードなどである。これらには症状の進行を阻害 し遅らせることが出来るものがあるとされている。アビガンなどは新型コロナに対して有効だった 症例が多く報告されている。しかし、これらの薬はすぐ使えない。使う場合は、まずは検査を受け その結果により、医師の判断がいる。さらに厚生労働省の使用許可が必要なものがあり、薬を 使うのも大変である。

大戦時で「一人一人が決死隊」と歌っていたような緊急事態の時、よく言われた言葉。

「今、われ何をなすべきか、を考えよ」

密集、密閉、密接を避け、マスクして手洗いを徹底する、極力人と会わない。その他にどう すればよいのか。ワクチンも薬も難しいとなれば、自分の身体の新型コロナウイルスに対する 抵抗力を強化することしかない。まず私はその強化方法を考えることにした。

快食、快眠、快便、という言葉が浮かんだ。まずは身体の新陳代謝を活発にして、新型コロナに 立ち向かうのだ。私はそれに適切な運動をつけくわえた。年老いた者は、それを断固とした決意 のもとに、力を尽くして努めねばならない。そして私は古来より言われている「かぜによく効く 食物」に注目した。かぜの80%はウイルスが原因である。古い昔から人類はウイルスのことなど 知らなくても、それに対応し抑え込む食物を伝えてきたのだ。 調べると色々な食物が出てきたが、 私は次の5つに絞り込んで、意識して取ることにした。①生姜(しようが)②にんにく ③ヨーグルト④納豆⑤ハチミツ。

そんな時、たまたま見ていたテレビの「林修の今でしょ 講座」で、食品医学研究所長の 平柳要先生がハチミツの健康有用性を語り、その中でもニユージーランドのマヌカハニー の抗菌性は普通のハチミツに比べて抜群に高い、と解説していた。そして、山田養蜂場の科学研究所 が公開している、長崎大学への助成研究の報告として、マヌカハニーのインフルエンザウイルスに 対する抵抗力が他のハチミツと比べても圧倒的に高いことをグラフで示していた。さらに、長崎大学 の研究ではハチミツにはインフルエンザウイルスの増殖を抑え、そのうえ、ハチミツのフラボノイド という成分がインフルエンザウイルスの遺伝子を破壊することが分かったと言っていた。

新型コロナウイルスにマヌカハニーがどれぐらい有効かどうかは、分からないが、私の身体に抵抗力 をつける食品として、すぐにでも食べたくなった。3年前、私がニユージーランドのクインズタウンから ミルフォードサウンドへ向かうバスの窓から、白い花をつけたマヌカの木の林が見えた時、ガイドが 「マヌカの木は先住民のマオリ族の人たちが、癒しの木と呼んで、樹皮や葉を煮て薬として使っていました。 その花のハチミツも貴重な万能薬でした。今、マヌカハニーは抗菌力があり、免疫力を高める ニュージーランドの健康食品となっています」と言っていたのも思い出した。

苦楽園口のイカリスーパーに、買い物に行った時に、私はマヌカハニーを見つけた。250㌘の小瓶で、 UMF10+は4500円、15+で6500円、20+で9800円だった。このUMF(Unique ManukaFactor)とは、殺菌力の濃度を表すものである。例えば10+では殺菌液の フェノール10%以上の濃度に匹敵するということで、5+から25+まである。元祖というべき ブランドマークである。そのほか、MGO(蜜に含まれている抗菌作用の成分メチルグリオキサール の量)の表示するものもあり、MGOの263+は、UMFの10+に匹敵すると言われている。

私はUMF20+の250㌘の小瓶を、買い物かごに入れたが、それを見た妻がたちまち「待った」 をかけた。普通なら1500円ぐらいで売っている筈の250㌘のハチミツに9800円も支払 うのは、全く納得できないといって、UFM20+を元の棚に戻してしまった。私は、懸命にマヌカ ハニーは特別なハチミツで、もともと値段が高いものなのだ。と説明したが、頑として買うことには 同意しない。

それでは10+の4500円ではどうかと持ち掛けたが、それもダメである。どうやら私がマヌカ ハニーの効力についての、フエイクニユースに惑わされて、急に買うと言い出したと受け取っている ようだ。私は一旦、イカリスーパーで買うのはあきらめた。が、……。

その後で、思わぬ援軍が現れた。一緒に買い物に来ていた義妹(妻の妹)が、妻から話を聞いて、 「確かにマヌカハニーは殺菌力のある特別なハチミツで、のどの調子の悪い時などに使う人が多いのは、 私も良く知っている。買って悪いものではない。神戸の住吉にハチミツの専門店があって、そこでは もっと多くの種類がある」といって、妻を誘って、その専門店に行ってくれることになったのである。 果たして、本当にマヌカハニーを買って帰ってくるか、半分疑い、半分期待していたが、妻は確かに UFM10+を買ってきた。値段は3300円だった。

その翌日から、妻はマヌカハニーを管理して、毎日マヌカをすくった一匙を匙のまま小皿にのせて、 1日1回だけ食べさせてくれることになった。私は最初、1日3回ぐらいと考えていたが、ニュージー ランドで強い抗菌力と糖分があるのであまり食べすぎてもいけない、と言われてことも思い出し、 しばらくは、1日に一匙の妻のベースに乗ることにした。

こうして、マヌカハニーを続けて3週間がたった。その間、毎日50分歩く夙川公園の桜がつぼみから 満開となった時に、日本政府の新型コロナウイルス緊急事態宣言が出された。がやがて雨で花は散り、 葉桜となったが、感染者数もその死者数も、依然として増え続けていた。ただ、私の身体には少しずつ マヌカハニーの抗菌力が染み渡りつつあると、思い込んで生活していると、「感染するのではないか」 という新型コロナに対する不安感が確かに、幾分か薄らいだ。

新型コロナに感染すると、味覚を失う場合もあるから、マヌカハニーのドロリとした濃い甘さを舌に のせて「確かに甘さを感じる。感染なんかするものか」と感染してないことを確認する。ウイルスの 猛攻の下、家に蟄居する時の最も適切な食品であると信じるようになっていた。ウイルスの攻撃が続 く限り食べ続けるつもりである。

マヌカハニーで不安感が薄らぎ、落ち着いたところで、私は改めて今回の新型コロナウイルスの、世界 の多くの人の予想をはるかに上回る手強さについての思いを深くした。

先の大戦で考えると、武器は次々と変化して、強力なものになって行く様子そのものである。爆撃機 B―17がB―29に変わり、マグネシューム焼夷弾が、油脂焼夷クラスター弾大量投下に変わり、 ゼロ戦がたちまち紫電改に変わるようなものである。

新型コロナについても、中国の研究者によると、コウモリの持っていたウイルスの遺伝子に近いS型 コロナと、より感染力が強く変化したL型コロナがあると言われている。昨年11月から1月まで中国 人観光客184万人入国していたためその時期はすでに日本ではS型コロナが蔓延していたと言われて いる。私もこの時かぜをひいて、近くの医院に行くと「今かぜをひいている人が何故か多く、治るのに 時間がかかっている」と言っていた。この時すでにコロナS型ウイルスに感染していたとすれば、私の 身体には抗体ができている筈である。それでは、この抗体がL型に対し有効なのかどうか。S型、L型、 両方にかかった人がいるという情報があり、抗体の効力については、はっきりしていない。さらに型を 変化させて攻撃してくる動きを見せているのが、この新型ウイルスの恐ろしいところである。

そして一層、私が不気味に思うのは、人類の世界人口が爆発的に増え続けていることに対する、生態系 の自然淘汰現象として、人類に対してウイルスの攻撃が次々と自然発生してきているのではないかという 「怖れ」である。広さに限界のある地球上で一つの種だけが極端異常に増えると、自然淘汰現象が起こる。 爆発的な人口増が続く限り、人類に対するウイルス攻撃は、今後も波状的に続き、その都度、より進化 した強力な、制圧しにくいウイルスが出現してくるだろう。ワクチンも薬も変化の速いウイルスには、 その変化のスピードについて行くのが大変になる。

結局はウイルスを跳ね返す身体の抵抗力を一人一人が力を尽くして、つけることが一番大切になる。 マヌカハニーは私には有用だか、必ずしもマヌカハニーにこだわるものではない。自然の中から抵抗力に 有効なものを見つけ出すのが、人類の課題になるだろう。

(2020年4月18日)

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宙 平
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