From Chuhei
「百家争鳴」「諸説芬々」に「疫病退散」の
指揮をとる女神の出現を望む

2021年に入り、新型コロナウイルスの日本での感染者数はとどまるところを、知らない。1月10日の感染者総数は、28万9634人、死者4080人だが、毎日感染者は5000人単位、死者は50人単位で増加している。

医療は受け入れ可能な状況が限界に達し、すでに医療崩壊が起きていると訴える 医療機関が増えてきた。こんな時、東京・埼玉・千葉・神奈川の知事の要請により、 1都3県に緊急事態が発令されたが、それをめぐっても、

「発令が遅すぎた」
「飲食店の営業時制限だけでは効果がない」
「休業保証金だけではやってはいけない」
「2月7日期限で、拡大を阻止できるのか」
「発令が終わる条件を明確にしてほしい」

などの意見が出た。次いで、増加する感染者数を背景に、大阪・京都・兵庫・ 愛知・岐阜・栃木・福岡の2府5県にも緊急事態が宣言された。さらにその後、 独自で緊急事態宣言を出す県が続出している。

今後どうなるのか、どうすればよいのか、国民の不安を背景にここにきて、 テレビでも色々な意見が出され、それが紛糾することも、多くなってきて いるように私には思われる。

そのような時、テレビ朝日の『モーニングショウ』の、社員でコメンテーター の玉川徹氏は、感染の拡大を防ぐために、PCRを検査希望者全員が受けられる 体制に構築するのがすべての基本と主張をし続けていた。

番組で、ゲストの白?大教授の岡田春恵氏は、医療が逼迫し、今医療と社会を 守るためにも行動変容が必要と訴えた時、弁護士でコメンテーターの山口真由氏は 「今から根絶シナリオに転向することは事実上不可能」「行動規制をしてある程度 感染者を抑制していくしかない」として検査数は不足していないと発言した。これに 対し、玉川氏は「検査数だってアメリカの20分の1」「検査を抑えられている ニュージーランドに比べても10分の1ですよ」「検査能力を見ても59位ですよ」 と反論して、日本の圧倒的なPCR検査数不足を訴え、検査拡大の必要性を強く 主張した。

PCR検査拡大の必要性の主張については、テレビ各局のキャスター、コメン テーターによっても違いがある。テレビ朝日に対抗意識もあるのかもしれない。 フリーキャスターの辛坊治郎氏は1月8日、読売テレビ「かんさい情報ネット ten」に出演して「誰もが自分は感染者でウイルスを持っているかもしれない と思って行動を」と呼びかけたうえ、PCR検査の過信は禁物であると指摘した。

「特に恐ろしいのは、検査の感染判定の確実性は7割と言われ、3割は見逃す検査 であることなのです。検査で陰性だからって年末年始、故郷に帰った人の3割は 陽性かもしれないって状況だと、どんどん広がります」と語っている。

元大阪府知事・市長で弁護士の橋下徹氏はツイッターで「検査の回数ばかり増やしても、 アメリカは感染者数も死者も抑制できていない。必要な対象者に迅速的確に検査する 必要がある。回数の問題ではない」「有症状者や濃厚接触可能者、震源地やハイリスク 地の無症状者に検査をすることが重要」と主張している。かつて、世界保健機関WHO 西太平洋地域事務局長として感染症サーズを終息させた経歴を持つ、新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の尾身茂氏は、感染者の追跡・隔離を柱とするクラスター対策を徹底することを中心の手法として主張して実施してきた。そして年初から、緊急事態 宣言を出すべき時期が来ていると強く主張していた。ただ、一般のPCR検査希望者 には、国の行う無料のPCR検査は受けさせないという姿勢は続いている。

TBS系情報番組『ひるおび』には、緊急事態宣言後、店舗の開店時間の制限について、 有名な新宿の焼き鳥店「鳥 田むら」の店主が出演して、34人の従業員が露頭に 迷うことになり、制限を守ることができない。店は営業し続ける。と発言した。 「罰金と言われたら、裁判でも何でもする」と、言っている。

時間制限と特措法改正による罰則規定についての意見がテレビ番組で飛び交っている。 そして西村経済再生担当相が1月12日の記者会見で「昼間も含め外出自粛をお願い している。特に午後8時以降の外出自粛をお願いしているが、昼食はみんなと一緒に 食べてもリスクが低いということではない」と述べたことに対し、ランチ営業に 切り替えようとしていた業者たちから、

「夜も昼もダメなら、どうすればよいのか。 最初から全日休業を指示してくれた方がよほどわかりやすい」との意見も多く出ていた。

一般の想像を超える新型コロナウイルスの猛攻勢に、いろんな意見やコメント が飛び交い正に「百家争鳴」している。これ等の意見が試され力となってコロナ 制圧に向かえばよいのだが、意見を取り上げ、それを試し実行して、先手、 先手と徹底して進む強い力のあるリーダーがいなければ、「諸説芬々」となって 混乱する。そうなれば、コロナの攻勢に太刀打ちできなくなる。私は今、行政、 学者、報道、医療、のみんなが、未知のウイルスに「今どうすればよいか」本当 は分かっていないのではないか、その迷いが「諸説芬々」につながっているので はないか、と思っている。

医療現場が逼迫するなか、日本医師会の中川会長が「このままでは医療崩壊から 医療壊滅です」 と、今までにない危機感をあらわにした1月13日。菅総理大臣 は会見で、記者から、「日本の医療法制度をもっと民間の活用に変えれば変えられる のではないですか」という質問に対して、総理は「民間病院へのコロナ病床提出要請 は働きかけを続けています。医療法については国民皆保険を含めて、もう一度検証 する必要があります。必要であれば改正するのは当然です」 と発言した。SNS上では「国民皆保険の見直しに言及した」との投稿が広がった。 加藤勝信官房長官は14日の記者会見で「国民皆保険制度は守る」と打ち消しに回った。

私は総理が医療危機下に、国民皆保険制度の検証の必要性など発言するから、 ますます「諸説芬々」となる。総理は「今、何をするべきか」が本当に分かっていない、 と思った。

1月18日、菅総理は河野太郎行政担当相を、ワクチン担当相として、ワクチン接種 の調整を託した。河野太郎氏は215万人を超えるツイッターのフォロワーを抱え発 信力のある閣僚として有名である。しかし今の組織では、西村康利新型コロナ対策担当相や田村憲久厚労相がワクチンの政策を担当し、ワクチンを注射する医師も厚労省、冷蔵庫は経産省、物流は国交省、使った針などは環境省、学校を使えば文部省、自治体の関係は総務省、予算は財務省と、命令系統は、それぞれの省のトップを通じねばならず、調整に手間取らないか私は心配している。菅総理としては河野氏の発信力突破力を期待してのことだと思うが、平時ならとにかく、国難が迫り、緊急を要する非常時の対応としては、総理は任命して任せるだけでは駄目で、総理自身も先頭に立って、各省庁と国民に施策実行を号令し、常に状況を説明し、コロナ退散への熱い気持ちを国民に訴え続けることが、できるかどうかが、いま問われていると私は思っている。

台湾、ドイツ、ニュージーランド、フィンランド、アイスランド、デンマーク、ノルウエー。これらの国は、世界の中で新型コロナウイルスの対策が、今でも一定程度以上に奏功して成果を上げている国である。そしてこれらの国はすべて、女性の指導者が強いリーダーシップを持ち、効果的なメッセージと断固とした行動により、国民の信頼が厚く、指導者に対する国民の支持が高い国々でもある。

台湾、蔡英文(ツァイ・イングウェン)総統は流行初期の段階から渡航制限や国境管理の新たな対策を迅速に実施した。ドイツのアンゲラ・メルケル首相はこのウイルスの危険性を国民に向けて強く訴え続けた。ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は早い段階でロックダウンを実施し、国民に向けて、その理由を丁寧にそして明確に説明し、高い意思決定力を示した。

フィンランドのサンナ・マリン首相はソーシャルメディアを駆使して、コロナ状況下のもと、献身的に働く人々に温かいメッセージを送り続けた。アイスランドのカトリーン・ヤコブスドッティル首相は希望者に無償でウイルス検査を提供し、死亡者数を最低に抑え、素晴らしいリーダーシップの成果を上げた。

デンマークのメッテ・フレデリクセン首相はコロナ政策を立案して成果を上げ、スピーチを通じて人々を励まし国内外から賞賛を浴びた。ノルウエーのエルナ・ソルベルク首相は子供たちとあたたかく寄り添い、子供たちと対話する記者会見を続けて成果を上げた。

私は国民をまとめ、一丸となって戦い成果を上げているこれら7人の女性指導者たちを 心から素晴らしいと思った。そして

「今こそ、世界人類のコロナ危機を救うためにと、起ち現れた女神たちではないか」 とも思うようになった。さらに「今の日本の『百家争鳴』『諸説芬々』を一つにまとめ上げ、明るい光で国民を照らし、コロナウイルスを消滅霧散させる本当に力のある女神が日本にもほしい」と、強く願った。

そんな時、1月18日の朝日新聞の夕刊に宮崎県の天岩戸神社の洞窟「天岩戸」に、神社創建以来、初めてしめ縄が張られた、と言う記事が出た。洞窟の周りは断崖絶壁でしめ縄を張るのもプロの登山家の協力があったということであった。神話では、アマテラスが岩戸に隠れたために暗く落ち込んだ世に、再びアマテラスが岩戸から出て、光明をもたらした時に、もう隠れないようにしめ縄を張ったのが、日本のしめ縄の始まりとされている。今、しめ縄が新しく張られたということは、アマテラスが、疫病が蔓延し、百家争鳴、諸説芬々の世を見かねて岩戸から出てきたことを意味するのではないか、と私は思った。

「日本にも力のある女神が生まれる兆候かもしれない」

私は直ぐにYOU・TUBUで天岩戸の神楽、『岩戸開』を見た。岩戸の前で笛、笙、小太鼓、大太鼓の音が響き、アメノウズメが踊り、集まった神々が囃した。岩戸が動くとタヂカラオが岩戸を引き開け、持ち上げて踊った。アマテラスが光と共に出現し、アメノコヤネが祝詞を奏上した。祝詞は最初、何を言っているのか分からなかったが、私自身精神統一すると、次のように聞こえた。

「かけまくもかしこきアマテラスがのたまっている。『疫病退散』のために、日本の国にも力ある女神が、必ず出現するであろう。これは間違いないが、厚いガラスの天井を破らねばならないので、今しばらく待ってほしい。それまでは日本国を治める任務を担っている者たちの、いずれかの一人に、アマテラスがのり憑いて、疫病を収めるべく努めさせよう。と、かしこみかしこみもうす」

これを聞いて私は思った。果たしてアマテラスがのり憑く官僚は誰なのか、しめ縄報道と同じ日にワクチン担当相になった河野大臣か、西村新型コロナ対策担当大臣か、田村厚労大臣なのか、それとも尾身感染症対策分科会会長かもしれない。

待てよ、菅総理にのり憑いて急に変心して、先頭に立ち、大号令を発して、バンバン検査、バンバン隔離して、バンバン治療薬を与え、バンバンコロナ病院を建て、バンバン医療関係者を送り込み、バンバンワクチンを打つ。こんなことにはまずならないだろうなぁ……。

(2021年1月26日)
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宙 平
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