ピン・ピン・コロリ党宣言(改訂版)


From Chuhei
 
 
  
 
 
エッセー 『ピンピンコロリ党宣言』は2000年に書いて、その
時の皆様にお送りしたのですがですが、今回はその改訂版をお
送りします。
 
 
 
  ピン・ピン・コロリ党宣言(改訂版) 
            
 
 元気に生き抜き、病まずにコロリと死ぬ。これを、P・P・K(ピン・ピン・コロリ)という。
 
 私がP・P・Kを強く印象付けられたのは、『P・P・Kのすすめ』(一九九八年、紀伊国屋書店発行)という本を読んでからだ。この本は医事研究家の水野肇さんと岡山大学医学部教授の青山秀康さんの編著で、P・P・Kの実際をしめしそのすすめを提言している。
 
 まずこの本は日本一の健康県といわれる長野県に注目することから、始まっている。長野県は全國でもトップクラスの長寿県だ。しかし、長寿でも、健康でなくてはならない。自分で食べ、自力で排泄し、自力で移動でき、会話ができる自立状態でどこまで生きられるかだ。 厚生労働省は、六五歳から、寝たきりにならずに、何年自立して生きられるかという「健康余命」指標を使う。
その指標でみても、長野は男性が自立余命期間一五・九二年で全国二位、女性は同一九・四四年で全国四位の高さだ。しかも七〇歳以上の高齢者一人あたりの医療費は、全国でもっとも低い。いちばん高い北海道に比べ、半分近い。また、入院しても、平均在院日数は二二・三日と全国でもっとも少ない。自宅で死亡する割合は三割を超え全国最高だ。北海道の三倍にも上る。まさにP・P・Kである。
 
 長野でなぜ元気な老人が多いか。この本では、その理由として「高齢者の就業率の高さ」、「保健活動の充実」「在宅医療の普及」「食生活」「自然条件」など、いくつかの点をあげて説明されている。そして理由の大きな原因に、六五才以上の人の就業率が全国でトップの高さにあることがあげられ、「就業しているから健康であるのか、健康だから就業できるのか、どちらが結果なのか、という点はなお究明する必要はある。だが、就業が健康にとつてよい効果をもたらしているということはたしかであろう」とも書かれている。
 
 そういえば、私の所属する西宮市シルバー人材センターで、聞いた話によると、働く全国シルバー人材センター会員の国民医療費負担は、同年代の一般高齢者の医療費負担に比べて四割も低いということである。
 
 私も、適切に働いて、ピンピン生きてコロリと死ぬことを信条としたいと思った。そこで、この本の例をヒントに、つぎのように方針を打ち出した。

  ○ 死ぬまで、なんらかの「働き」をする。

   ○ すべてのことに興味を持って生きる。

  ○ 正しい食事、適切なスポーツを続ける。

  ○ 飲食・排泄・移動・会話の自立を保つ。

  ○ 地域での活動、人との交流は絶やさない。
 
 この内の地域での活動だが、二〇〇〇年の五月三十日。西宮市シルバー人材センターの総会で、こともあろうに、私が理事長に推薦されて、大役を引き受けることになってしまった。会員数は一〇〇〇人を越え、公的補助金も受けている、社団法人の高齢者対策事業である。生きがいと仕事を求める地域高齢者からの人材センターへの期待も非常に強い。
 
《困ったことに、なってしまった。しかし、やるしかない。そうだ! P・P・Kだ。西宮市の高齢者に、臨時的、短期的、又は軽易な仕事の就業機会を、なんとしても提供して「元気にピンピン生きて、病まずにコロリと死ぬ」の方針を吹きこんで実行してもらうのだ。これを信条に、どんどん会員を集め互いに交流し、対策事業を進めていく。そしてP・P・Kは全国に向けて、やがて世界に向けて広がる……。早速、全員に発表するぞ!》
 
 このとき私は、P・P・K党の結成を高らかに宣言したのである。同時に私の口から、「きけ万国の高齢者! 轟きわたるP・P・K! ……」メーデー歌ならぬ、宣言歌が響きわたったのであった。
 
 そして、今や、信州人の歌ったこの歌を、関西人もこれに答え、武庫の原野に鳴り響き、高齢者で溢れる列島に、その歌声が高い。
 
 
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  宙    平
cosmicθharmony
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