北海道トレッキング紀行(7)
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車から降りて、我々に近づいてきた人は、20才前後の若い青年である。気軽に挨拶してきたので我々が思っている疑問を投げかける。まず聞いたのは、畑には雑草が全くないことである。確かに、除草剤を撒いているが、鍬をつかって、人力で草取りもやっているとか、種のついた草がくせもので、これが周りに飛ぶと、この種は何年も生きるので、これには神経をつかっているという。
それと、葉につく害虫退治には、機械で何回も散布しなければならないそうである。収穫するまでには大変な労力が必要であるとか、熱く語り始めた。今年は、直径一センチ以上の大きな雹が降り、野菜の被害が大きかったとか、この広い畑のジャガイモを収穫しても、利益は少ないとか、車両の燃料代も高くなったとか、苦労話が続く。
もう一つ質問したのは、若い人は、農家を就いでいますかの問いに、我々の年齢では、大自然の中で生活できることは、すばらしいとは思っているが、若者の答えは、やはり、若い人は都会へ出て行く人が多いとのこと。都会へ出て思う存分遊びたい年齢で、地元に落ち着き頑張っている姿を見ると北海道のジャガイモを食べるときは、君を思い出し食べるから、頑張ってくださいと、別れの言葉とした。
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![]() 知床(清里)のジュガイモ畑 ![]() 知床(清里)のジュガイモ畑 |
![]() 知床(清里)のジュガイモ畑 |
![]() 知床(清里)のジュガイモ畑 |
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![]() 話をした青年 |
北海道トレッキング紀行(8)
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清里での起床は4時、早く出発したいため、朝食の代わりに、おにぎりを作ってもらう。
清里から知床五湖までは、一時間程度で独特な姿の朝の斜里岳を横に見ながら車を進める。途中、滝があるので、立ち寄るが、道路の横にある滝で、全く歩く必要がない。滝の水は山から海へ直接流れる。高さも幅もあり、美しい滝である。滝はそこそこに見て、知床へ向かう。
知床で有名な山、ラウス岳が見えてきた。さらに、原始林を切り開いた道を進むと、突然道端に鹿が現れた。初めて見たときはこの時とばかり、必死になってカメラのシャッターを切るが、さらに進むと、次から次へと鹿が現れ、あわてることもなかった。
親子の鹿も多い。車から降り、近づいても朝食中で、我々には見向きもしない。顔を見せてもらうために、手をたたいて音をたてたら、やっと私の方を向いてくれた。早朝は動物に会う機会が多いようで、帰りは鹿との出会いは少なかった。
知床五湖の手前で、道路は閉鎖され、午前七時以降でなければ通れないとの表示がある。仕方が無くこのあたりをぶらつくことにした。車から降りたときである。30メートルぐらい先に何か黒い動くものが見えた。直感で熊と判断、よく見ると、やはり熊である。
熊に出会ったときは、目線をそらさず、騒がず、敵対心を持たず、ゆっくり後ずさりすることと、教科書には書いてあるが、このようなことは、頭のどこにも無く、驚きと興奮のなか、カメラのシャッターを切る。熊は鋭い目で、こちらを見ている。その後はどのようにシャッターを切ったのかあまり覚えておらず、カメラも後で気がついたのであるが、自動から手動に切り替わってしまっており、いい写真は最初の一枚のみである。
熊は少しこちらを見ていたが、その後は、ゆっくりと熊笹の中に消えてしまった。
一瞬の出来事で、その後も興奮はなかなか収まらなかった。
この時気がついたのは、周りに居た鹿は全て草も食べずに熊が居た方向を見ていること、この場面はテレビでよく見るライオンとカモシカを映し出すアフリカの光景と似ている。
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![]() 遠くに見える斜里岳 ![]() 知床(オシンコシンの滝) |
![]() ラウス岳 |
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![]() 突然姿を見せた熊 |
![]() 目つきがするどい |
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