南阿蘇トレッキング紀行(4)

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この後、天岩戸神社に寄る。ここは天照大神(アマデラスオオミカミ)を祀る神社で、神殿の背後を流れる岩戸川断崖の中腹に洞窟がある。弟にあたる素差男命(スザノオノミコト)の乱暴に怒り天照大神が天岩屋戸に隠れ、これにより闇の世界となったとか。困り果てた八百万(やおろず)の神々は天安河原に集まって秘策を練り、芸達者な天鈿女命(アメノウズメノミコト)が天岩戸の前で賑やかに舞い踊り、(これが後に神楽の原型となったとも伝えられる)神々はその周りで宴会を始める。
その騒ぎに興味をしめした天照大御神が岩戸を少し開けたところを手力雄命(タヂカラオノミコト)が岩戸を開け、世に再び光を戻した。というお話。
天安河原には小石を積み上げると願いが叶うと言われるためか、たくさんのケルンがあり、異様な感じがする。この様子は木曽の御嶽山にもあり、不思議な世界である。

高千穂峡よりもっと自然が残っているところがないか、観光案内へ行き聞いてみたら、町から離れたところに棚田があるとの情報がえられ、そちらに向かう。車を走らせるとまもなく扇方の棚田が見えてきた。六月も近いというのに、田植えは終わっておらず、これからのところも多い。
この棚田は上に道があり、このあたりから眺めるしかない。棚田は長い年をかけて人間が作ったもので、自然に溶け込み、どの棚田を見ても実に美しい。この棚田も例外ではない。
狭い場所であるが、色んな角度からシャッターを切り、限がない。
観光化されていない、静かな棚田をみていると私だけの感じ方かもしれないが、心が落ち着き、このようなすばらしく風景は、いつまでも残ってほしいと思い、今夜の宿へ向かう。

宿は町の中央にあるが、落ち着いた宿で、ほっとする。経営されているのは大女将とまだ二十歳代の若女将である。お疲れでしょう、お風呂はこの宿にしますか、それとも近くの町営の温泉に行きますかとの心使いがあり、迷うことなく温泉に決めた。無料の入浴券まで頂き、若女将の運転による送迎までしていただき、感謝する。疲れている時の温泉はいい、疲れが飛んでいきそうである。
夕食は山菜をメインにしたものであるが、これが実に美味しい、特に美味しかったのは、竹の子の中にお寿司ご飯を入れたものである。心のこもった料理に素直な気持ちで若女将にお礼を述べた。夕食後は高千穂神社近くの公民館で行われる夜神楽の舞を見に行った。夜神楽は夜を徹して踊られるが、観光客相手の踊りは1時間程度にまとめられている。我々が目にする踊りとは少し違って興味深く見ることができた。

明日は早朝の旅立ちとなるので、朝食の代わりにおにぎりを作ってもらえないかとのお願いに、快く引き受けていただき、清算もその日に済ませた。この時大女将が我々に言い出したのは、娘が私に涙を流しながら言ったのは、お客さんの何気ない言葉に感動したとのことで、我々にお礼を言い出した。若女将は旅館を引き継ぐが迷っているという言葉を我々は聞いていたこともあり、これを機会に決心され、引き継いでほしいと思ったし、心のこもった接待を今後も続けてほしいと思う。

翌朝は五時前に出たため、高千穂町近くの国見ケ丘が雲海で有名であるので、時期的にはずれているので期待はできないが、寄ってみる。丘の展望台に着いても薄暗く、霧が出ているため高千穂盆地はあまりよく見えない。しばらく様子を見るが、綺麗な雲海は発生せず、雰囲気だけ味わって、九州の秘境といわれる椎葉村へ向かう。

晴れていれば高千穂盆地が見える 神話の世界の高千穂の山々

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